「BARTIMAEUS
THE AMULET OF SAMARKAND」
ジョナサン・ストラウド 著
金原瑞人/松山美保 訳
数ページ読んだら、もう7歳の息子は夢中になりました。
私も以前読んだときより楽しいです。主人公のナサニエルは親に売られて魔術師の弟子になります。魔術師も義務なので弟子の養育は嬉しくありません。子供を産んで母親になった自分には、胸がつまるような境遇に、ナサニエルの無謀とも言える秘宝の奪還の理由が理解できる気がします。自分の才能を認めない師匠は守ってもくれません。意地の悪い教育に、天才ではあっても子供のナサニエルはあらがうこともできず、彼の受けた屈辱にやり返してやりたい復讐心が私のなかにもメラメラ燃えてきました。
生涯でベスト3に入るファンタジー
私がバーティミアスを初めて読んだときはもう、「ファンタジーって、こんな面白いものなのか。」とショックを受けました。いままで読んだファンタジーのなかで一番面白かったものです。たまには親のおしつける本も読んでほしい!(ごめん!)
こどもが自分で本を選ぶのも楽しそうなのですが、いつか一緒に感想を言い合いたいと常々ねらっていたのが、この「バーティミアス」。ですが、私の見るドラマ=こわいという偏見があるため、なかなか読んでくれませんでした。ここ数ヶ月、夏からずっと「これ読もうよ」「バーティミアス読んだら、他の本も読んであげるよ」と、あの手この手でプッシュして、ようやくしぶしぶと子供が承諾したのです。子供だけでなく主人にきかれました。「どうしてナサニエルは習ってもいない妖霊の召還をしたのか。」「サマルカンドのアミュレットをねらう必要はあったのか。」大人が読んでも、もちろん面白い。
いま思い出しても涙が出そうになる、3冊目の完璧なフィナーレ。驚くような展開に、果たして7歳の子供は泣きやむのか。
男の子なので、ファンタジーを読んであげられるのは小学生の低学年までかなと思っています。今しかないのです。
映画化は頓挫した
こんなに人気があったのだから、映画化されているはずと思いましたが、製作中に映像化の権利をもった映画会社が売却され、中断してしまったらしいです(2010年?)。非常に残念です。最初の3冊が完結してから、この作家の作品を探しましたが見つからず、子供と一緒に図書館に行ったときに童話のコーナーに続編を見つけました。3冊目の「プトレマイオスの門」が2005年なので、2012年に外伝「ソロモンの指輪」が出るまで7年もあいたのですね。子供と一緒に映画になったバーティミアスを見たいです。
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