読みました「(Outlander 23)遥かなる時のこだま 3」

遥かなる時のこだま3、表紙 OUTLANDER

アウトランダーのファンにとって、日本語で読むことのできる最後の1冊を読み終わってしまいました。この23冊目でもちろん終わるはずもなく、「ここで終わるの!?」という強いヒキを感じながらの読了。

続きを出版して!!

原作本は、3冊目までは再販されています。「時の旅人クレア1〜3」です。しかし、次の「ジェイミーの墓標1〜3」からは売り切れ状態で、再販の見込みはなさそう。どんなに書店を探し回ったことか。

それでも、大きな図書館では何冊か見つけることができましたし、地元の図書館に取り寄せることもできました。国会図書館まで行ったこともあります。

しかし、この続きは和訳すらされていないのです。

アウトランダーの翻訳家である加藤洋子さんは、このアウトランダーの翻訳で受賞されています。加藤さんは非常に優秀で、海外作品の翻訳という印象を持たずに、私たち読者が作品を味わえるのは彼女のおかげ。英語で書かれた原作も購入しましたが、やっぱり加藤洋子さんの訳が読みたい。

続きを出版して欲しいと、痛切に願っています。

遥かなる時のこだま3、表紙−2

遥かなる時のこだま 3
ダイアナ・ガバルドン著 加藤洋子訳

OUTLANDERシリーズ23冊目「遥かなる時のこだま 3」。原題は「AN ECHO IN THE BONE」。本作「遥かなる時のこだま」の中では、離ればなれになっているクレアとブリアナは、出会うことはありませんでした。クレアが20世紀に戻ることも、ブリアナが18世紀に行くこともありません。過去から届く手紙を読み進めていくブリアナたちが切なかった。アメリカの独立戦争の真っ只中ですが、日本人の私にとって、あまり馴染みのないところ。

扉、遥かなる時のこだま3

ジェイミーとクレアの物語は、次世代の重要な登場人物たちに重心が移ってきています。ジェイミーの息子ウィリアム、甥のヤング・イアン、娘のブリアナ。ウィリアムとヤング・イアンが戦場で出会ったりします。

ウィリアムの外見や能力は、非常にジェイミーに似ていますが、ジェイミーに感じる魅力がないのは、お坊ちゃん育ちだからでしょうか。ジェイミーは、いつ死んでもおかしくないような厳しい状況で、ただひたすらクレアを愛して大事にしました。ウィリアムには、まだそうした女性が現れていないからなのかもしれません。

ジェイミーの指をクレアが切断する

戦争でジェイミーは右手を負傷します。クレアはジェイミーの指を切断せざるを得ません。もともとジェイミーは左利きですから剣を持つのは左手です。そして右手も長い間、まともに使えていませんでした。ブラック・ジャック・ランダルにより右手を潰されたからです。命は助かりましたが、右手は、ほぼ使えない状態でした。

クレアは、ジェイミーの指を落とす決断をしつつも、右手が使える状態にするよう手術します。本作より以降、ジェイミーの右手は4本指になりました。もし20世紀で白骨が見つかっても、身長と右手の骨を確認すればジェイミーなのかが判断できるのかな、と思いました。ジェイミーだと確認できる明確な特徴という意味で、重要なエピソードと言えます。

ヤング・イアンをラリー・ブロッホに送り届ける

独立戦争も終わり、ジェイミーはやっとハイランドへ戻ることに。イングランド側の戦死した将校の一人(サイモン・フレイザー)がジェイミーの親戚だったため、遺体を故郷に返すという依頼を受けます。

ヤング・イアンをジェニーの元に返す約束もやっと果たすことができました。モヒカンのインディアンになってしまったヤング・イアンですが、暖かく家族に迎えられます。

ジェイミーの親戚の行方

サイモン・フレイザー准将は、ジェイミーのいとこ。イングランド側の将校で戦死しましたが、部下たちに非常に信頼されて慕われていたようです。負けた側でありながら遺体を故郷に返してもらうことになりました。

また、ヤング・イアンはハミシュ・マッケンジーに会いました。ハミシュがまだ幼い頃、リアフ城でクレアとも会っています。リアフの城主コラムの息子ですが、実はドゥーガルの息子です。イアンの祖母であるエレンは、コラムの姉です。アメリカ側で参戦していましたが、カナダにいたはず。エレンの妹であるジョカスタは、カナダに逃げたのですが、ジョカスタの話題は出ませんでした。

親戚同士が敵味方に別れていたんですね。ジェイミーは息子ウィリアムとだけは戦うまい、と考えていましたが、彼とは知らずにウィリアムの帽子を撃ち落としています。

さらに、ドゥーガルと魔女ゲイリスの息子である、ウィリアム・ブークリエフ・マッケンジーの行方が判明しました。かつてロジャーが罠にはめられて殺されそうになった、あのブークリエフです。ゲイリスの息子で、ロジャーの先祖。時の旅人であったようで、「石を抜けて」、20世紀のラリー・ブロッホに登場しました。

ラリー・ブロッホの小さな墓石について判明したこと

ジェイミーの父ブライアンをはじめ、ラリー・ブロッホには家族の墓石があります。ブリアナが、20世紀のラリー・ブロッホで小さな暮石を見つけますが、名前が掠れて読めませんでした。その暮石の謎が本巻で明かされていました。

小さなお墓は、ヤング・イアンとエイミーとの子供「イエクサア」のものでした。ヤング・イアンからの手紙で、彼が辛い体験をしたことを知ったジェニーは、小さな墓石を置きました。

ジェニーは嫌な女性ですが、自分の子供や弟には、こんなにも優しいのか、と思いました。ヤング・イアンの心の傷が少しづつ癒されていきます。この暮石が何かの伏線なのかな、と考えていましたが、こういうことだったんですね。

ヤング・イアンの恋人を狙ったアーチ・バグ

ヤング・イアンは、インディアンの女性・エイミーと離婚しています。全巻「遙かなる時のこだま2」で、エイミーは再婚しており、またエイミーの息子とは、血が繋がらないながらも絆を感じたようでした。気持ちの上で整理がついたところで、ついにヤング・イアンに好きな女性が現れます。

執拗にイアンに復讐しようとするアーチ・バグに狙われるのは、この女性でした。レイチェル・ハンター。イアンはレイチェルに自分の気持ちを伝えますが、アーチ・バグの標的になってしまうため、結婚を申し込むことができません。アーチ・バグの死を確認できないうちは、誰とも結婚できないわけです。もし、誰にも知られずにアーチ・バグが死んでいた場合は、イアンは一生、安心できません。アーチ・バグが本当に復讐するつもりなら、消息を完全に断つべきでした。

イアンはレイチェルを守って、アーチ・バグに斧で攻撃されますが、ウィリアムがアーチ・バグを仕留めました。ウィリアムが倒したか〜、と意外でした。

ラリー・ブロッホでイアンが亡くなり、ジェニーとの確執が明確化する

クレアは、ラリー・ブロッホではとことん受け入れてもらえない運命なのでしょうか。クレアは幼い頃に両親が亡くなっており、叔父とともに世界中を回っていたので、本当の故郷がありません。ですから、クレアにとってはラリー・ブロッホが故郷なのに、ジェニーにとっては「弟を捨てた女」で「得体のしれないよそ者」なんです。

時を旅したことも説明しましたが、当然、信じてもらえません。

ジェニーの夫でヤング・イアンの父、イアンが肺結核を患っています。余命数ヶ月ということはわかっても、治すことはできません。クレアが「治す気がない」のだと、ジェニーに誤解されてしまいます。ジェニーの言いがかりですが、クレアにはどうしようもありません。

ジェニーは「リアリーのことを謝るから、イアンを治して欲しい」とクレアに伝えますが、頼むというよりも逆ギレです。カローデンの戦いのあと、20年。やっとの思いでジェイミーのもとに戻ったクレアを追い返すために、絶妙なタイミングでリアリーをラリー・ブロッホに呼びました。ジェイミーとリアリーの関係は冷え切っていたとわかっていたのに、です。ジェニーは、なんて嫌な女性だろうと思いました。リアリーに次いで嫌悪感を感じました。やはりジェニー自身もわかっていたようですね。

クレアは、イアンの最期を看取ることもなく、マーサリの息子の命を救うためにラリー・ブロッホを後にします。イアンが亡くなることで、クレアはラリー・ブロッホを失いました。亡くなってから、イアンが重要な存在だったことがわかります。

クレアとロード・ジョンの結婚

マーサリとファーガスの息子を救うため、クレアはフィラデルフィアに。フィラデルフィアにはロード・ジョンと瀕死の甥ヘンリーがいます。クレアはマーサリの息子とヘンリーを手術し救います。

そこで、フィラデルフィアに向かっているジェイミーの船が沈没した知らせを受けます。実は乗船していないのですが、クレアとロード・ジョンはジェイミーが亡くなったと思います。「煽動的な文書」をばらまいた容疑で逮捕されそうなクレアは、ロード・ジョンと結婚。クレアが結婚するときは、いつもこうなのか?他に助かる方法がないとき。

ジェイミーは死んでいないので、クレアに会うため危険を覚悟してフィラデルフィアに乗り込んできますが、ロード・ジョンはわざとジェイミーの人質になって、ジェイミーの逃走を助けます。クレアとの関係をジェイミーに説明し始めたところまでで、その章は終わりました。

続きは!?

フランス人の金を狙う男に、ジェムが誘拐される

20世紀のラリー・ブロッホでは、ロジャーの先祖のブークリエフが登場。本人は18世紀に帰りたいようです。ブークリエフはドゥーガルの息子であることは知りません。伝説のナックラヴィーのふりをして、ジェムを脅しましたが、誘拐されたジェムを救うためロジャーと行動をともにしています。

金を狙っているのはブークリエフでなく、ブリアナの部下のロブ・キャメロンだと判明。どうやら若い頃に、ジリアン・エドガーズ(ゲイリス・ダンカン)と知り合いだった可能性もでてきています。誘拐したジェムを閉じ込めている洞窟にはトロッコがあり、線路はスタンディングストーンのような時の入り口付近を通っています。この時の入り口がどこに続いているのかはわかりません。ジェムがとても危険な感じで、章が終わっていました。

続きは!?

ジェイミーからの、危険を知らせる手紙

ブリアナは、ジェイミーからの書きかけの手紙を見つけます。危険を知らせようとしている、というか、こんな危険に遭遇したら、という文章です。書いては打ち消されている、書きかけのような文章は要領を得ません。

まるで、20世紀で起こることを知っているような手紙です。

20世紀から誰かが時を超えて行ったのでしょうか。または、特別な力でマンディがジェイミーに知らせたのでしょうか。

気になることだらけでの終わりを迎えた「遥かなる時のこだま 3」。

次巻は、「WRITTEN IN MY OWN HEARTS BLOOD」です。ちょっとずつ読んでいこうと思います。

コメント

  1. […] 【追記:読みました「遥かなる時のこだま 3」参照】次巻を読んだ時点で、ジェムを脅したのは他の人だとわかりました。 […]