主人公はサイバー・パトロールのバイトをしています。普段からインターネットの書き込みのひどさには恐怖感を持っていますが、この本を読んだあと、それはインターネットのせいでもなんでもなく、結局は人がもともと内側に持っていて、発しなかっただけの言葉だっのかな、と考えるようになりました。「ひどいな」「どうにかならないかな」と心が痛むような問題を小説の中でとりあげられていて、いつも、いつも驚きます。そこ、気になってたんですよ!でも、どう受け止めていいかわからないんですよ!と心の声が出ていたと思います。
上巻の半分を過ぎてようやく、ファンタジーの分野だったのかと気づいたくらい、現代ものの雰囲気。いかにも現代ものらしい巷にあふれる身近なネットの怖さから、個人ではどうにもならない大きな社会問題まで出てきますが、そこからガラ(ガーゴイル)の世界に自然にはいっていけました。読んでいくうちに、「英雄の書」の世界観とつながり、しかも「ユーリ」が出てきたときは、懐かしいような会えて嬉しいような気分になりました。「ユーリ」が元気になって成長していて、ほんとに良かった。
ニュースでとりあげられるような凄惨で理不尽な殺伐とした場面と、ガーゴイルが大鎌ふりまわすファンタジーな場面が入り乱れて、それでも自然に話がすすむので、現代ものが好きな人もファンタジーが好きな人も、両方楽しめる本です。
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