読みました「(Outlander 5)ジェイミーの墓標 2」

ジェイミーの墓標 2 OUTLANDER
outlander5,ジェイミーの墓標2

OUTLANDERシリーズを読み進めています。どんなに読んでも、まだたくさん刊行されているので、いまのところ安心して読んでいます。こちらは、書店の棚で見つけました。最後まで読んでしまったら、寂しくなるかもしれないと思うくらい、面白いです。

OUTLANDERシリーズ5冊目ジェイミーの墓標 2

ジェイミーの墓標 2
ダイアナ・ガバルドン著 加藤洋子訳

「時の旅人 クレア 1〜3」、「ジェイミーの墓標 1」に続くOUTLANDERシリーズ5冊目です。「ジェイミーの墓標」は3冊で完結(続いてるけど)ですが、2巻になっても怒濤の展開。

5冊目にして、さらに怒濤の展開に

この本を購入したとき、実はまだ「時の旅人 クレア 3」を読む前でした。手に入りにくいことを感じていたので、見かけたときに先に買っておいたものです。しかも「ジェイミーの墓標 1」も書店では買えませんでした。長く続くシリーズなので、途中で読まなくなったらどうしようかな、と考えましたが、買っておいて正解でした。「時の旅人 クレア 3」をやっとネットで探して購入し、「ジェイミーの墓標 1」は図書館の貸し出し予約でやっと読むことができました。さんざん待たされましたが、それでも満足しています。最後まで、この調子なんじゃないかなと思います。5冊目でも、勢いまったくおとろえず。

マータフは「時の旅人 クレア」のときよりも、かっこいい

クレアとメアリー・ホーキンスにふりかかる悲劇は、あとあとまで物語にからんでくる重要なエピソードですが、あまりにもかわいそうで、読んでいて辛かったです。護衛についていたマータフが、ジェイミーにいっそ殺してくれと願い出ます。ここでマータフが、赤ん坊だったジェイミーに忠誠を誓っていたことがわかります。「生まれて一週間も経たないときに。おふくろさんの胸に抱かれたかわいい赤ん坊のときに」「おれはエレンの足元にひざまずいた。」かっこいい。エレンに、ジェイミーを守ると誓ったと。さらに犯人を見つけよというジェイミーの命令を受け、マータフはクレアに会釈して言います。「領主が言ったように、おれはやる。あんたのために、仇を討つ」マータフのエレンへの愛と、おそらくクレアにも抱いている愛は、その見返りを求めてはいません。また、ここでも作者が、エレンとクレアに共通した魅力があることを示している気がします。見た目の美しさを讃えるマータフの言動もあるのですが、強さと優しさが共存することにマータフが惹かれていたと想像させます。

フランクは誰の子孫か

ランダルはジェイミーに殺されないまでも、子供が作れないほどの重傷をおわせます。そこで「やっぱりフランクは弟の子孫か!」と想像がつきました。しかし、どういういきさつで、フランクの家系図でランダルの直系と記されることになるのか、ジャック・ランダルの墓がどうしてハイランドにあるのか。また、ロジャーは誰の子孫なのか。マッケンジーの人間は、誰が生き残るのか。「ジェイミーの墓標 2」では明らかになっていません。

チャールズ・スチュアートの策略

たった1行、反乱を起こす宣言書に名前を勝手に書き加えられてしまい、ジェイミーはチャールズ・スチュアートの反乱に加わらざるを得なくなります。こうした勝手なふるまいは、こののち何度か悩まされますが、部下を救うため、ジェイミーは必死で切り抜けようと戦います。もはやイングランド軍との戦いではなく、スコットランド反乱軍とのかけひきが怖すぎて、仲間であるはずの他のクランのものたちにも、油断ができません。いやおうなく戦争にまきこまれる様子が、第2次世界大戦で敗戦国となった日本人の自分には、せつない気持ちになります。そして、ここにきて、チャールズ・スチュアートの印象は最悪です。ドラマ化されたらどんな俳優さんが演じるのでしょう。気の毒に。

ムッシュー・フォレの役割

クレアの人柄が、アーンジュ病院で働くことを通じて理解され、また能力を高く認められることで、友人ができていきます。このときにできた友人のなかでも、特に背の高い外科医のムッシュー・フォレには強い印象を受けました。ムッシュー・フォレは外科医であり、技能の高い絞首刑執行人です。クレアに、絞首刑の中でも「反逆者の死刑」は「大変な技量が求められる」のだと教える場面があり、苦痛を与えるため絞首刑にしつつも、さらに即死させないようにするのだと、具体的に説明しますが、この恐ろしい描写は、「ジェイミーの墓標 3」の最後の最後まで記憶に残る場面です。その部分を読んでいる時にはわからなかったのですが、2巻を読んでさらに3巻の後半まで、この恐怖感がボディブローのように効いてきます。なぜ、こんなに詳細に具体的に語るのか。これから読む方は、ぜひこのムッシュー・フォレの言動を見逃さないようにしてください。

ジャコバイトが虐殺されることを、なんとか防ごうとするジェイミーの努力は、結果として、体制側からも反乱軍からも「反逆者」となってしまいます。読み進めるうちにジェイミーが追い詰められていくような不吉な予感と、クレアを襲う(おそらく)人生最大の悲劇で、ジェイミーの墓標の2巻(OUTLANDER5)は、勢いを増してきます。でも、クライマックスはまだまだこれから。せめて、マータフだけでも助けてほしい。

次は「(OUTLANDER6)ジェイミーの墓標 3」です。