ちょっと言葉に出すのも恥ずかしいのですが、私の母は私の作品のファンなんです。
デザイナーになってからも、制作したポスターのデザイン意図や構成について、かなり精密な理解を持っています。私の学生時代は、デッサンを眺めてとても気に入ってくれていました。
私自身の自己評価以上に、彼女は私の作品の良い部分を強調して捉える傾向があります(親だからね)。
このひろい世界で、たった一人でも自分の感覚を高く評価している人がいる。そして、それを自分は認識できているわけです。
子供が社会性を獲得する上で、まず両親の目を通して社会を観察しているのだとします。もしそうだったならば、私がそれまで思っていた以上の「良い」道が、タイミングよく発見できたのは、このおかげだったのかもしれません。
私は、いま、自分の子供の道を照らしているだろうか。
子供は、私が信じていることを認識できているだろうか。
親の、ほどほどな贔屓目は、より良い日本の未来を作るのではないだろうか。