電車のなかで、赤ちゃんがぐずってもあせらなくていいんです

日記

トラム、レゴ

小さな子どもが泣いてしまって、機嫌がなおらないとき、「ぐずる」と表現します。

その赤ちゃんは泣いて泣いて、ママの抱っこから逃げようと暴れていました。電車の中です。たいして混んでいませんでしたが、シートは空いていません。

大丈夫かな、とお客さんたちがチラチラながめる。すぐ目の前に座っていた若い女性が、声をかけるでもなく、すーっと立ち去りました。赤ちゃんに席をあけてくれたようです。

そばの席をあけてもらったので、大きなマザーズバッグを置く事はできました。でも、逃げようと身体をそらして泣き続ける赤ちゃんを、シートに座らせる事はできずにいました。

すると、ずいぶんむこうに座っていた女性が、にこにこしながら近寄って、キーホルダーのようなものを赤ちゃんに見せてあげました。
赤ちゃんは、急にだまって、じっと見つめたあと、そのキーホルダーを手にとり、いつのまにか泣きやんでイスにすわりました。

赤ちゃんが飲み込まないか、危険ではないか、ママさんも観察していたみたいですが、ようやくおさまりました。
しばらく、その女性は赤ちゃんのお母さんにも話しかけておられました。

その車両の乗客みんなが心配していたようでした。他の乗客の人は、やっと自分のスマホに目を落としました。

次の駅では、赤ちゃんはもう泣いていなくて、車両のなかでは「良かったねー。」と言葉にならないやりとりがあった気がします。気のせいではないと思います。

自分の駅で降りると、泣いていた赤ちゃんとママさんも降りていました。声をかけてあげてた女性も一緒に降りていました。お礼を言ったり、赤ちゃんてたいへんよね、とか話していたんだと思います。きいてたわけじゃないけど。

自分の地元の駅に、素晴らしい人たちがいるんだと、ちょっといい気分になりました。