読みました「(Outlander 17)炎の山稜を越えて 1」

炎の山稜を越えて1表紙 OUTLANDER
outlander17,炎の山稜を越えて1

「炎の山稜を越えて」も4冊の構成。3冊目は手に入らないようなので、図書館で借りることにしました。独立戦争に向かうというより、地元に出没する山賊集団に脅威を感じます。独立戦争がちかづくにつれ、ジェイミーは社会的地位があがりますが、それにつれて家を空けることが多くなり、クレアたちは無事にいられるのか、不安がたかまるという1冊でした。炎の山稜を越えて1表紙

炎の山稜を越えて 1
ダイアナ・ガバルドン著 加藤洋子訳

OUTLANDERシリーズ17冊目「炎の山稜を越えて 1」。原題は「A BREATH OF SNOW AND ASHES」。このASHES(灰)は、謎の山賊集団に襲われ家が焼かれた様子を連想させ、同時にジェイミーとクレアの死亡記事も連想させます。前巻(燃ゆる十字架のもとに4)では、ジェミーがストーン・サークルから時を越えられる可能性が高い事がわかりましたし、また、ジェイミーは自分が死んだらクレアは安全ではないと考えていることからも、本作「炎の山稜を越えて」のなかで、誰かがストーン・サークルを抜けて「時を旅する」のではないかと想像しています。

炎の山稜を越えて1とびら

「時の旅人」の痕跡

クレアが医療で存在感を示したのは、過去にタイムスリップしたその日のうちでした。ブリアナはこれから作られる歴史を知っている以外に、芸術の才能を徐々に示してきています。ブリアナは絵を描き、図面をひき、発明します。本質をとらえて表現する、ダヴィンチのようです。ブリアナは発明品をつくりながら、いままでの発明も「わたしたちのような」人間の過去の記憶から生み出されたものではないかとふと疑うことがありました。ロジャーもまた、ダンカン・イネスの口唇裂を治した手術跡を見つけます。ハイランドで50年以上前に「時の旅人」のひとりがいた訳です。その治療師は誰だったのでしょうか?「カワウソの歯」とともに時を越えた誰か。時間を行き来したレーモンド(マスター・レーモンでしょうか)?「時の旅人」はあと二人いるはずです。クレアやゲイリスは魔女と見られて(ゲイリスは魔女っぽいけど)殺されそうになりました。「時の旅人」たちは、きっとそうならないように気をつけていたはずです。

スティーブン・ボネットは死んでいない

本作では、ジョカスタの召使いがジェミーを連れていたときに遭遇します。ロジャーに報告しました。フィードレはボネットを見て、ジェミーに近づけてはならないと思ったようです。ジョカスタやジェミーたちの周囲には、雇用されただけの関係ではなく、思いやりにあふれていて、主人を守ろうとする空気が感じられました。ジャコバイトの資金となるはずだった金をボネットが狙っていますから、いなくなるわけはないと思っていました。

リジーのもてっぷり

ブリアナの召使のリジーは、婚約しています。婚約者の母親に特に気に入られており、母親の亡くなったリジーには非常に良い話だと思っていました。しかし、ここにきて、ロード・ジョン・グレイの召使、ボビー・ヒギンズがリジーに気がある様子。また、そんなボビーを「悪い虫」と見なして目の敵にするのは、リジーの父親ではないのです。リジーが世話してあげている、ジョサイアとケザイアの双子です。この双子は想像以上に役に立つ子供たちで、リジーを守ろうとする姿が本当に可愛い。

イアンの奥さんは?

イアンはモホーク族に奥さんと子供がいたはず。しかし、とうとうイアンは語らないままでした。以前の明るいイアンとは変わった様子ですが、なぜ急に戻って来れたのでしょうか。子供は生きているのでしょうか。子供と奥さんが生きているなら、これからアメリカでインディアンが虐殺される歴史を知って、どうするのでしょうか。イアンはジェイミー同様に語学の才能に恵まれており、いまではインディアンの言葉に堪能なので、ジェイミー以上に重要な情報を持っています。

山賊集団はいつ出てくるのか

地元に出没する山賊集団を、「インディアンのしわざだ」と話す人もいます。しかし、イアンが襲われた場面の描写からも白人だと考えていいはず。とすればインディアンに罪をなすりつけようと噂を流している人は共犯なのでしょうか。必要以上に残忍なように思えますが、ボネットはからんでいるのか。ブライアン兄弟は情報を知っている、とジェイミーは見ています。

ジェイミーがストーン・サークルにクレアを逃がすときは、どんな場合が想定される?

カローデンの直前だったり、魔女裁判のあとだったり、ジェイミーはいつもクレアの安全を優先して考えてきました。ジェイミー自身は家族を守っていつでも死ぬ覚悟があります。しかし、新聞の死亡記事ではジェイミーとクレアは亡くなったとされ、残された子供はいなかったと記載されてました。もしものときには、またストーン・サークルから逃がそうと思っています。危険なのはクレアだけではありません。発明家のブリアナも魔女だと思われかねませんし、ボネットが狙っていますからジェミーも危険。ジェイミーはクレアを逃がそうと思っていますし、ジェミーは時を旅する能力がある(それも強い)、宝石は揃っている。炎と血は旅する時代を微調整できる、とゲイリスが語っていましたから、フレーザーズ・リッジが火事になったら、きっとそれは、時を越えるということなのでしょうか。

次巻は「炎の山稜を越えて 2」です。

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