「まんまこと」シリーズです。町名主の跡取り息子の麻之助には、幼なじみがいます。同じ町名主の家に生まれた清十郎、侍の吉五郎。女性にモテる色男の清十郎がついに結婚を真剣に考えます。
いままでは、支配町で起こる事件を麻之助たちが解決して行く1冊完結でしたが、ここにきてようやく麻之助たちの人生に関わる重要なエピソードが出てきます。清十郎の結婚話や町のトラブルが、実は麻乃介にも無関係ではなかったという話です。
若い犯罪者の罪悪感のなさにも麻乃介たちが対処します。その罪の重さから重犯罪者とみるのか、その若さから子どもとして再生を促すのか、非常に難しい問題だと思えました。話の筋をばらしてしまうようですが(筋を知りたくない方はとばしてください)、作者が問題のポイントだと考えていたのは、子どもが群れて行った犯罪だということだと思いました。群れる事で罪悪感がなくなり、非常に危険な状況にも自覚がありません。一人一人をバラバラにして遠方へ奉公にだすことにしました。子ども時代に別れをつげて親元を離れて働く子供たちの厳しい人生を考えると、ふさわしい処置だったろうなあと納得できました。
本のつくりもおしゃれ。ぜひハードカバーを買ってみて
南しんぼうさんのイラストが素敵な表紙をめくると、カバーの下に着物のだて衿のように赤い紙がみえます。おしゃれ。
カバーをとってみます。赤い表紙に軍配のイラストが。
本体の表紙は、用紙が長く裁断されており、折り返してカバーに色をさしています。凝っているデザインにどきどきします。
ドラマ化されていました
ドラマ化されていました。いました。DVDにもなっています。レンタルで探してみたいです。
清十郎役は桐山蓮さんです。桐山蓮さんは、仮面ライダーWで菅田将暉とダブル主演していました。仮面ライダー好きな我が家ではドラマにも興味がでてきました。
清十郎の母と弟
清十郎の義理の母は、麻乃介たち3人の幼なじみで二つ年上の女性です。なぜ、清十郎の父の後添いになったのか、そのときおなかにいた幸太は誰の子どもだったのかが、今作で問題になります。清十郎は父を亡くし町名主を継いでいます。家族構成が変わる事で子どもの運命も大きく動き出すことを、「親には向かぬ」でも暗示していました。
このシリーズを最初からもう一度読んで確認したいところが出てきてしまいました。本作はシリーズの中でも順番どおりに読んだ方がいいです。胸がつまるくらいせつない気持ちになれました。