クレアは、かつてクレインズ・ミュアの魔女裁判でゲイリスに命を助けられます。クレアを助けるために、ゲイリスが「自分は魔女だがクレアは関係ない」と自白するところは、「時の旅人 クレア」のなかでも特に印象的な場面でした。
「時の彼方の再会 3」を読んでみると、この場面の印象がかわりました。ああ、そういうことだったのかと。ドラマのシーズン3も楽しみです。
クレアが未来からきた「時の旅人」だったから?
ゲイリスの腕に予防接種の痕跡を見て、クレアはゲイリスもまた未来からきた「時の旅人」であることを魔女裁判で知ります。ゲイリスのほうはクレアのことを「時の旅人」だと、最初からわかっていたようです。同じ仲間だと感じていたから、ゲイリスは自分の命とひきかえにクレアを助けようとしたのだろうと。
「時の旅人 クレア」を読んだときは、そう感じていました。
しかし、自分が助からないからといって、その自分の命とひきかえに他人を救うでしょうか。あのゲイリスが、そこまでの友情を感じていたでしょうか?
ゲイリスは魔女裁判のときに、あることを知った
しかし、ドラマのシーズン1でクレインズミュアの場面を見たときに、もっと意味があるように感じました。ゲイリスを鞭打ちすることに、クレアが抗議の声をあげます。その抗議のせいで、クレアが鞭で打たれるのを見ているゲイリスの表情が、泣きそうにゆがみます。
原作「時の旅人 クレア 2」を読み直してみると、ドラマのようなやり取りはありません。だいぶ時間が経過してわかりましたが、クレアの命を救った理由は、「時の彼方の再会」でゲイリスがクレアに語っています。
「…(略)あなただったんでしょ?わたしが石のあいだに足を踏み入れる直前に、名前を呼んだのは」
「見てはいないわよ。後になって、魔女裁判にかけられたとき、あなたがわたしを呼ぶ声に聞き覚えがあると思ったの。それからあなたの腕の跡を見て…」
「命と命の引き換えよ、スウィート・クレア。あんたは一度、わたしを助けようとした、クレイグ・ナ・デューンで。わたしはクレインズミュアの魔女裁判であんたを救った。おあいこでしょ、アイ?」
ゲイリスは1968年にストーン・サークルを通り、18世紀に来ました。未来に帰ったクレアは、1968年になると、まだゲイリスが同じ時代にいることを知ります。ゲイリスが過去に行くと火あぶりになると思っていたので(実際は逃げた)、ゲイリスがストーン・サークルを通るのを止めようとしました。ゲイリスを助けようとしたんです。ゲイリスは、誰かが自分を止めようと叫んでいることはわかりましたが、誰なのかはわからないまま、18世紀にタイム・スリップします。
クレインズミュアの魔女裁判で、叫ぶクレアの声をきき、ゲイリスはクレアが自分をストーン・サークルで助けようとした人だったと知ります。ゲイリスにとって、クレアだけが、自分を助けようとしてくれた人だったわけです。きっと、自分を助けようとした人は誰だったんだろう、とずっと心に残っていたんでしょう。
原作で真相がわかったいま、またドラマのシーンが素敵に思えます。