読みました「(Outlander 22)遥かなる時のこだま 2」

遥かなる時のこだま2、表紙 OUTLANDER

遥かなる時のこだま2、表紙

ジェイミーとクレアの物語も、赤ちゃんや小さな子供の成長が見られるたびに、親戚のおばさんのような気持ちになることがあります。ジェイミーの息子、ウィリアムはジェイミーのように長身に育ちます。そして、ジャック・ランダルとメアリー・ホーキンスの息子と接触することに。ヤング・イアンがウィリアムを助けますが、ウィリアムは血の繋がりがあることを知りません。

新たな登場人物にドキドキしながら読みました。ジェイミーが独立戦争に巻き込まれていきます。

遥かなる時のこだま2、表紙2

遥かなる時のこだま 2
ダイアナ・ガバルドン著 加藤洋子訳

OUTLANDERシリーズ22冊目「遥かなる時のこだま 2」。原題は「AN ECHO IN THE BONE」。「遥かなる時のこだま1〜3」は3冊で構成。前巻「遥かなる時のこだま 1」では、20世紀に戻ったブリアナたちがラリー・ブロッホで暮らし始め、クレアとジェイミーから200年の時を経て届いた手紙を読んでいきました。「遥かなる時のこだま 2」では、いよいよジェイミーとクレアが戦争の混乱に巻き込まれていきます。

遥かなる時のこだま2、扉

フランクの先祖の一人、デニス・ランダル=アイザック

フランクの先祖は家系図ではジョナサン・ランダル(ブラック・ジャック・ランダル)ですが、嫁のメアリー・ホーキンスのお腹の子供の父親は弟のアレックス・ランダルでした。ジョナサン・ランダルは病気の弟のために、メアリー・ホーキンスと結婚します。ジョナサン・ランダルは、非道なようでいて、実は約束したことは忠実に守る人物として描かれており、愛する弟の死後もメアリー・ホーキンスに遺族年金が支払われるように結婚したことは納得できます。

メアリー・ホーキンスとお腹の赤ちゃんはその後どうなったのかが、「遥かなる時のこだま 2」で明らかになりました。メアリー・ホーキンスは裕福なユダヤ人と再婚し、息子は戦争ではスパイ活動の任務に付いています。裕福であるだけのデニスは、「連隊であたたかく迎え入れられる保証」も、「縁故や影響力によって得られる機会を金の力で得られる保証」もないからだろう、とウィリアムは思います。

デニスは、ウィリアムがジョン・グレイの息子だというコネを自分の活動に利用するつもりで、スパイ活動に連れ歩きます。表向きはフランス語が堪能な通訳としてですが、その実はジョン・グレイの息子であることから、どこでも信頼され情報を引き出しやすいからです。ウィリアムはジェイミーの語学の才能を受け継いでおり、フランス語を片言しか話せないデニスがウィリアムを見てどう思っているのか、ドキドキしながら読みました。ウィリアムはデニスにないものを持ちすぎているわけです。

また、黒髪、黒い目のハンサムなデニスは、パーシー・ボーシャンと親交があることをジョン・グレイが知ります。デニスは当然、ジョン・グレイのことをパーシーからきいているでしょう。デニス・ランダルと別れたウィリアムが、なぜか敵地に向かうよう仕組まれていたのも、デニス・ランダルの罠だったと考えています。人の良さそうなアレックス・ランダルの子供なのに、性格が悪すぎる気がします。

フランクのマニラ紙のフォルダー

手紙の中で、クレアはブリアナに家系図を確認するように頼みます。なぜ頼むのでしょうか。手紙は一方通行なので、ブリアナの掴む情報はクレアには届きません。

どのような方法かはわかりませんが、のちにブリアナからクレアの時代へと情報が伝わるすべがあるのではないかと思わせます。

色鉛筆で「空色と金でイワツバメを描いた紋章」が表紙のフォルダーには、クレアのラムおじさん(考古学者だった)がクレアのために書き残したビーチャム家の家系図があります。このマニラ紙のフォルダーは、フランクのものです。

パーシー・ボーシャンがファーガスを探す目的

ファーガスは「遥かなる時のこだま 2」で誘拐されかかります。殺そうと思えば簡単だったことから、誘拐して誰かに会わせる必要があったのではないかと思います。ファーガスはフランスの貴族の子供だということでしょう。何か相続するものがあるので、親戚か弁護士が探しているのではないでしょうか。ジョン・グレイと因縁のあるパーシーのことなので、ジョン・グレイはみずから「ボーシャン」とフランスの関係に付いて調べ始めます。ジェイミーたちは、ファーガス一家とは離れて旅をしているので、この謎を解くのはジョン・グレイの方からだろうと思います。

イアンに大事な人が現れる

ヤング・イアンをつけねらう宿敵アーチ・バグは、イアン本人ではなく妻や恋人、子供をねらうつもりでいます。イアンは独身ですが、かつてはインディアンの女性と結婚しており、子供が流産して部族を追われました(離婚した)。

今回、イアンは忘れられない元妻エミリーに会います。他の男性に嫁ぎ、子供がいました。男の子です。その子は、エミリーの部族のシャーマンである老女に言われました。魂の父はイアンだけれども、そのことは実の父には言ってはいけない、と。イアンは男の子に名前を授けます。

ヤング・イアンには新しい恋人ができて、アーチ・バグに狙われるのかと思っていましたが、そうではなく、この子供が狙われるのかもしれません。勇猛なインディアン、モホーク族の子供ですから、そう簡単には狙えないでしょう。それでも、イアンは子供のためにアーチ・バグを倒すのではないかと期待しています。別れた妻エミリーも、イアンに気持ちを残しているのが切ないのですが、クレアの言う遺伝子の不適合を運命と言うなら、それもしょうがないのでしょうか。

ラリー・ブロッホに眠る遺跡

ブリアナは水力発電所の地下に、偶然、「時の旅」の入り口を見つけます。部下たちに、真っ暗な地下に閉じ込められトロッコに乗ったからです。

時を旅することになると、もし過去なら、そこにはトンネルはなかった時代のため、生き埋めです。部下がふざけただけかもしれませんが、部下の一人「ロブ・キャメロン」は、ブリアナに執拗に接触を図っているように思えました。これも、わざとか?わざとだとすれば、かなり悪質です。

ロブ・キャメロンは、ブリアナとロジャーが教えていない情報を知っていましたし、考古学者の友人にラリー・ブロッホの石垣を調査させたりと、胡散臭い動きをしています。おそらく、「遥かなる時のこだま 1」でジェムを脅したのは、ロブ・キャメロンではないかと思います。ブリアナとロジャーは、ロブ・キャメロンからジェムとマンディを守らなければならないのではないでしょうか。

【追記:読みました「遥かなる時のこだま 3」参照】次巻を読んだ時点で、ジェムを脅したのは他の人だとわかりました。

ロブ・キャメロンは、金のありかに付いて何か知っているのでしょうか。そもそも、フランス人の金の存在を知っているのでしょうか。

キャメロンと言えば、キャメロン家もフランス人の金を山分けした家の一つです。エレン、ドゥーガルの妹はヘクター・キャメロンに嫁ぎました。ヘクターの妻ジョカスタは、3人の娘がいましたが亡くしています。ジョカスタは、執事のユリシーズとともに、アメリカからカナダへ渡りました。その子孫なのでしょうか。

また、ロブ・キャメロンは10代の頃から遺跡に興味を持っていることを友人の考古学者が話しています。その考古学者は、ラリー・ブロッホの建物自体は200年ほど昔のものだが、その前に建てられていた建物の石も使ってあると言う。ラリー・ブロッホには、まだ何か秘密があり、その情報も出てくるのではないかと思います。

ジェイミーとクレアが、ハイランドに戻ってきたらわかるのでしょうが、そこまでの情報が次巻で明らかになるとは思えません。もしかしたら、原書で読まなければわからないのかも。次巻は、日本語訳で出版された最後の一冊。じっくり読むぞ。

次巻は「遥かなる時のこだま 3」です。