読みました「魂手形」

魂手形、表紙 読んだもの

このシリーズ好きなんです。読んでしまうのがもったいなくて、買ってからしばらく取っておきましたが、満を辞して、ついに読んでしまいました。一晩で一気読み。なぜなら、途中でやめられなかったからです。

日本に生まれて心から嬉しいのは、面白い本が思い切り読めるところですよね。図書館や貸本も素晴らしいし、お世話になってるけれども、本屋さんで「これだ!」と思って買うハードカバーは、これまた格別です。

魂手形、表紙

「三島屋変調百物語 七之続 魂手形」宮部みゆき著

三つの話で構成されています。最初の「火炎太鼓」が最も面白かった。スーパーアイテムの神器にドキドキしながら読んでいくと、突然血の気が下がるようなページがありました。それは、酔って口を滑らせてしまった友人の、たった一言だったりします。

語り手の小新左が、10歳のときに目の当たりにした、藩の命運をかけた一大事の折にも、想像もできなかったような、もっともっと凄みのある歴史が急に飛び出てくるのですから、もう私もびっくり。それが小新左14歳のときです。

物語が、同じペースでは展開していなくて。ページをめくっていて、ドカンと大きな衝撃が何度かありました。クライマックスに次ぐクライマックス。ほんとに面白くてあっという間に読み終えました。

胸が苦しくなるような切ない話なんですが、理不尽な運命であっても、辛いだけじゃない。大体が、この藩に悪い人がいない。藩主も、小新左の兄も、嫂も。特に不美人の嫂がかっこいい。料理が上手で、藩主の従姉妹で、藩の一大事でもうろたえたりしないし、なぜか訳知り顔で的確な指示を飛ばす。面白かった。満足です。