こどもと観ました「ソロモンの偽証」

宮部みゆき原作の「ソロモンの偽証」は、小説がたいへん面白かったのをよくおぼえています。日本映画専門チャンネルで放映されるというので、映画も観てみようと録画しておきました。

小学4年生と一緒に観ることができた

「今度の日曜はどこにいこうか?」と尋ねると

「家でゴロゴロしたい」と答える小学4年生男子。

そんな息子と一緒にゴロゴロしながらビデオを観るのは、とても楽しいです。映画は一人でも楽しいですが、誰かと一緒に観る方がより楽しいです。小学4年生は、夢中になって一緒に観ました。前編を観たら後編も、と夜遅くなってしまいましたが、寝坊しないで学校にいくことができて、安心しました。小学2年生の弟は、10時をすぎたら眠くなってしまいましたが、前編は一緒に観ました。

いじめのシーンはきつかった

小説で読むよりも、映像のほうがいじめのシーンはきつい気がします。子どもに見せることを躊躇したのはこのシーンと、冒頭の「柏木くん」が死体となって見つかるところです。

加害者の学生は後編の裁判でこのことを断罪されます。そこまで観れば、理不尽な暴力に対して親子で話しあうことも簡単かな、と思います。もし、子どもと一緒にこの映画を観るつもりで、この暴力的なシーンが気になるなら、ぜひ後編もつづけて観ることをオススメします。子どもと映画を観る時は、休憩も必要です。食事やおやつをはさみながら、時間配分するといいと思います。

小説よりも「柏木」の説明が少ない

この一見、被害者に見える「柏木くん」は、調べていくにつれて異常な性格をしていることがわかっていきます。なぜ、「柏木」が友人にゲームをしかけるのかが重要なポイントだと思うのですが、映画はそのサイコパスぶりがあまり描かれていません。

思わず、映画を見たあと、「省略されてるけどこんなエピソードも小説にはあるんだ」と、蛇足だなと思いながら説明を重ねてしまいました。

「柏木」の計画どおりにはならなかった

「柏木」の悪意のある言葉は、心の傷や罪悪感を刺激するけれども、最後には克服して生きていこうとする中学生が、気持ちいいです。

「柏木」は、ある友人を思い出の場所に行かせます。彼の両親が起こした辛い事件のあった場所です。しかし、「柏木」の思った結果にはなりません。彼は、辛い思い出に向き合ったとき、忘れていた楽しかった思い出も取り戻すからです。

悪意ある計画も、思い通りにはならない。辛い記憶があって、罪悪感をかかえることがあっても、それでも生き抜いていくんだ。そんな中学生へのメッセージがあったように思いました。