読みました「魂萌え!」

魂萌え!、表紙

写真をよく見ると、なぜか「上」がふたつ。。。

そうです。急いでいたので、間違えて上巻を2冊買ってしまったのです。

「もし、あまりにも面白かったら、下巻を買いに行くのも待てないだろうから、上下は一緒に買おうっと。」

桐野夏生ですから面白いに決まってるし、ウキウキしながら2冊購入したのに、なんだったのでしょうか。

当然というか、やっぱり面白かったので、上巻は一晩で読んでしまいました。さあ、これから続きも一気に読んじゃえ!と思っていたのに、「え?どっちも上巻だよ。。。」とショックなこと、この上なかったです。

図書館にダッシュしました。奇跡的に下巻を見つけ、その日のうちに読む事ができました。良かったです。

無くなった主人の秘密とは

急に配偶者が亡くなるところから始まるのですが、亡くなってはじめて旦那さんの秘密がボロボロと姿をあらわしてきます。亡くなった旦那には愛人がいたので、主人公の敏子は息子や娘には相談できません。真実がわかればわかるほど、俊子は傷つくのですが、わかっていても知らずにいられないところが、切なかった〜。

子どもにも頼れない

主人公の専業主婦は、実の息子たちとも戦わなくてはいけなくなります。実の子どもなのに、もう家族でないところは、ぞっとしますが、リアルだなと納得できました。子どもたちが家を出て、独り立ちするとき、母親の敏子は何も知らなかったことがわかります。息子がアメリカから帰って来なかった理由、娘が父親の反対を押し切って家を出た理由。泣けるほど悩んだ子どもたちの気持ちには、当時きづいていないわけです。

戦ううちに自分らしさに気づく

自分が生き抜いていくためには、どうしても戦わなくてはなりません。そうするうちに、自分の意見を閉じ込める事が、命取りになると理解できていくわけです。敏子がひとつづつ、戦う気持ちを固めていくのが、とても嬉しかったです。

追いつめられて傷つけられた敏子が、激情にかられてネックレスをひきちぎるところがあります。愛人と対決して、花瓶を床に投げつけるところも好きです。

年齢を重ねて、初めて感情をあらわにするとき、ヒステリーだと言われるのでしょうか。溜め込んでしまうには、もう年を取りすぎているんだと思いました。自分の心におさめちゃっても、行き場がない気持ちは、病気にしかなりません。自分を解放する敏子に、ずっと「がんばれー」と思いながら読んでいました。