読みました「この世の春(下)」

この世の春(下)、表紙読んだもの

この世の春(下)、表紙2

「この世の春(下)」宮部みゆき著

藩主でありながら、押込にあい、幽閉された重興。幼少時からの苦悩を考えると言葉も出ない。理不尽な境遇に、たった一人で立ち向かうしかないヒーローの話でした。

重興は何も悪くなくても、悪意に晒される訳です。その元を作ったのは父親でした。用心して当然のことを、たかをくくり、さらには相手を利用できるのではないかというさもしい考えに付け込まれたのです。全て父親のわきが甘いせいです。

私が美福院なら、重興が父親を殺害したと聞いて、「ざまをみろ」と思ったかもしれません。藩の改革は必要でしょうが、息子を犠牲にして気づかない父親に同情できません。また、藩を守ることは考えるくせに、一人の人間として目の前の悪意には何もできなかった家老たちの罪は重い。

美福院の怒りがもっとも読者の怒りに近いのではないかと思いました。

最後の最後に、美福院と重興の元正妻が登場しますが、ここでやっと溜飲が下がります。

この世の春、上下、表紙

全てを知ったあと、「あの時、重興はあの女を倒していたのか!」と美福院が喜んだところで、やっと私の気も晴れました。

重興が、五郎助を倒したところじゃありません。

この世の春、上下、裏表紙

謎も残っているということは、続編があるの?

重興の別人格「野卑な男」の怪力は何か。

多紀には、御霊繰りの才能があるのか 多紀には兄がおり、一男一女をなしている。その子供(特に娘)には、特別な才能があるのか。

寺で預かりとなった一太郎(多紀のいとこの息子)には、特別な才能があるのか。

重興を押し込めた、北見一族の黒幕は誰か。

このまま何もないのか。 五香苑には、いつまでいられるのか。

いくつも謎が残されていますが、続編があるということでしょうか。また多紀と重興、半十郎に会いたい。ぜひ続編に期待したいです。