読みました「(Outlander 15)燃ゆる十字架のもとに 3」

燃ゆる十字架のもとに3 OUTLANDER

民兵軍を組織することになったジェイミー。全面衝突をしなかったと歴史にある反乱軍との戦争は、はたして回避できたのか?4冊で構成される「燃ゆる十字架のもとに」の3冊目、半分を過ぎていよいよ戦争に近づいていきます。OUTLANDERシリーズ15冊目「燃ゆる十字架のもとに 3」。原題は「THE FIERY CROSS」。

反乱軍も民兵軍も、同じ市民

本作の半分が「レギュレーション戦争」での様子です。ロジャーはジェイミーから重要な指令を受けます。ロジャーには荷が重いんじゃないの?誰か助けに来ないの?とハラハラしっぱなし。反乱軍のことを「レギュレーター」と呼んでいますが、レギュレーターのリーダーの一人であるハーマン・ハズバンドはクェーカー教徒で、ジェイミーとは知り合いですし、ジェイミーたちは国王(イングランド)のために戦う意思はありません。トライオン総督のためにもです。民兵軍を組織してはいても、反乱軍には直接の友達や親戚がいますから、本気で戦争する気があるのはトライオンだけな様子が滑稽でした。ドゥーガルが熱心なジャコバイトだったのに対して、ジェイミーは戦争自体に意味を見いださないことから、作者の戦争への考えが見えるようで、非常に興味深いです。カローデンのときもそうでしたが、今回のレギュレーション戦争にしても、自分の家族やクランを救うことがジェイミーの目的でした。どうにかしてレギュレーターを虐殺せずにすませたいと誰もが祈るなか、ジェイミーがロジャーに与えた指令は大変、重要なものでした。ロジャーが命をかけたミッションです。
燃ゆる十字架のもとに3表紙燃ゆる十字架のもとに 3
ダイアナ・ガバルドン著 加藤洋子訳

燃ゆる十字架のもとに3とびら

ドゥーガルとゲイリスの息子、ウィリアム・ブークリエフ・マッケンジーは本当にロジャーの先祖か?

戦争では正義と悪の区別の無い描写なのに対して、登場人物には明確な悪を描きます。「時の旅人 クレア」「ジェイミーの墓標」ではジャック・ランダルでしたが、「燃ゆる十字架のもとに」では、ボネットと、ウィリアム・ブークリエフ・マッケンジーです。ウィリアム・ブークリエフ・マッケンジーは、魔女ゲイリスとドゥーガルの子供ですから、大きな身体と凶悪な性格を受け継いでいます。家系図からいうと、ロジャーの祖先だとされています。でも、本当にロジャーの先祖でしょうか?体格とグリーンの瞳は似ていても、あまりに性格がちがいます。フランクとジャック・ランダルも「顔は似てても性格は似てないだろう」と思っていましたが、やはり直系の子孫ではありませんでした。家系図にはまだ謎があるのでしょうか。また、ロジャーの実家の牧師館に住みたいとこだわっていたフィオーナは、祖母のグレアムさんから、何か家系図について知らされていないのでしょうか。ロジャーとブリアナは子孫にメッセージを残していないのでしょうか。

そして、ウィリアムとボネットの容姿が似ているのも気になります。長身、金髪、緑の目です。性格も近いのではないでしょうか。

なぜノース・カロライナに白い熊がいたのか

インディアンから依頼を受けてジェイミーが狩りにいく熊は、カミナリにうたれて死にます。死骸の毛が白いということは、アルビノの熊なのか、またはホッキョクグマなのか。ホッキョクグマだとするなら、スタンディングストーンを抜けてきたのでしょうか。ロジャーが見たスタンディング・ストーンを抜けて、このホッキョクグマが時を旅したのだとしたら、宝石はなくても通れるということです。クレアも金の指輪しか身に着けていなくても石を抜けられたことからも、人によっては可能なんでしょう。ゲイリスは、5つの宝石が必要なのだと言っていました。「時の旅人」を守り、行き先を選ぶためだと。カットして磨いてあるほうが良く、傷がないもの。そしてインディアンの亡霊の「カワウソの歯」は、大きなオパールを持っていました。

燃ゆる十字架のもとに3

ゲイリスの出会ったもう一人の時の旅人は誰か

かつてゲイリスはクレアに、他にも「時の旅人」に会ったことがある、と語りました。誰でしょうか。石を抜けたのはクレアのほかに、ブリアナ、ロジャー、カワウソの歯。まだ小さいながらも、おそらくジェミーもそうなのでしょう。ゲイリスの息子であるウィリアムもでしょうか。そして、ウィリアムの息子も?ゲイリスが会った「時の旅人」は過去からのか、それとも未来からの?

ブリアナはジェミーを置いていけません。ロジャーはどうでしょうか。ブリアナの夢日記も気になります。これから特別な夢、予知夢のようなものを見るのでしょうか。

スコットランドの王とは誰のことか

ゲイリスは、「スコットランドの王になるのはフレイザーの血」と考えていたため、ブリアナを狙うとクレアに語り、その直後にクレアに倒されます。ジェイミーの子供でしょうか?ロード・ジョン・グレイのもとにいるエルズミア伯爵?孫のジェミー(まさか)?または、スコットランドの王になるとは過去にいくのかも?

クレアたちは、いつか時を旅する必要があったときのために、宝石を確保しています。未来でしか直せない病気などのために。誰かがタイムトラベルをするのでしょう。だれ?

クレアとジェイミーは、新聞の死亡記事のとおりに亡くなるのか

新聞の死亡記事が正しいとは限りません。火事のあと行方不明になっているのかも。早く知りたい、でも読むのがこわい。そんな気持ちの「燃ゆる十字架のもとに 3」でした。ジェイミーは、父親の年齢を超えて自分が生きていることを、不思議な気持ちだととらえています。クレアは、「地図を持たずに旅するようなもの」と語ります。カローデンの戦いを回避することはできませんでした。そのときは歴史を変えることはできない、という考えだったように思います。しかし、本作ではところどころに、歴史に干渉できていると考えているふしが見られました。ロジャーはレギュレーション戦争で重要な役割を果たしました。それは歴史を変えたことにはならないかもしれませんが、ロジャーが未来から来なかったら違った結果になっていたかもしれません。また、クレアが救った患者がいるということは、未来に影響を与えている、とも考えているようです。

歴史は変えることができるのか。大きな時代のうねりに立ち向かい、クレアとジェイミーは独立を勝ち取ることができるのか。次巻は「燃ゆる十字架のもとに 4」。


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